変調方式の性能計算

はじめに

本サイトの記事は順番を振っていませんが、それは媒体が書籍でなくWebであるからトップページで見たいベージを読んで頂くように構成しています。 ところがこのページをいきなり読んでもつまらないかもしれません。タイトルからしてピンとこないでしょう。 このページでは通信の品質を決める要素として変調方式に触れますが、アナログ通信のAM,FM,PMといった変調方式でなく、 デジタル通信の変調方式がメインとなります。通信品質を評価するための尺度や単位の便覧的な記事となりますが、 さまざまな変調方式とその性能を論じていくなかで、デジタル通信の本質に迫り、デジタル通信が普及した理由に言及していきたいと思います。

ディジタル通信の性能諸元

ディジタル通信では情報を0と1の二つの値(ビット[bit]と呼ばれる)で表現します。アナログ通信世代からディジタル通信世代への移行期には、 複雑なアナログデータがたった二つの値の組み合わせで表現できることに抵抗感を拭えませんでしたが、今や通信の世界ではディジタル通信が主流で その品質も決してアナログ通信に劣らず、むしろアナログ通信よりもはるかに高い性能を達成していると感じます。

早速、通信の性能を特徴づける諸元を考えていきます。通信の目的は送信した情報を正しく受信することですが、そのシステム設計には次のような諸元が検討されます。

これらの各諸元の説明と相互のトレードオフについて考えていきます。

まず電力については言わずもがな、電力が強ければ強いほど通信の品質は確保されます。ところが電波の全体の利用状況を考えると他の通信に影響を与えるまでに電力を強くしてはいけません。 「必要最小限の」電力で通信を行う必要があります。 さて通信における電力の強さは雑音(ノイズ)に対して有効です。通信の性能指標(figure of merit)として、S/N比(Signal to Noise Ratio)と呼ばれる指標があります。 これは信号(Signal)が雑音(Noise)に対してどれだけ強いかを表しますが、信号(Signal)は電力が強いほど強くなります。 さて雑音(ノイズ)とはどのようなものでしょうか。可聴音のイメージであれば、奇声や爆発音等の突発かつ瞬間的な音や、内容が聞き取りづらいひそひそ話等を指すかも知れません。 通信における雑音について、ここでは大きく外部雑音と内部雑音に区分します。先に説明した可聴音の例は全て外部雑音であり、通信においても点火プラグの点火雑音や回転体から発せられる固有周期に起因した雑音、 太陽の黒点による磁気擾乱の雑音等が外部雑音として分類されます。これらの外部雑音はシールド対策を行ったり、通信環境を改善したりすることで雑音を減らすことができます。 こうした雑音に対する対策は通信技術者の腕の見せ所ですが、もっと技術を見せるべきところは、外部雑音ではなく内部雑音に対する対策です。

内部雑音とは、熱雑音とも呼ばれるもので通信の立役者である電子の動きによって生じるものです。通信を行うためには電気の伝導の役割をもつ電子が運動する必要がありますが、一方で電子の運動により雑音が生じるのです。 特に熱雑音は抵抗素子の中で発生します。抵抗素子を使ってインピーダンス整合を取ろうとする一方で抵抗素子からは熱雑音が発生するというジレンマが発生しますが、 システム全体でどれだけ内部雑音を減らせるかが、通信の安定性の向上につながります。 ★詳細の内容については現在構想中です。暫し他の記事をお読み下さい。

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