フーリエ変換の応用を考える

時間の流れと変化の特性

大いなる時間の流れで「歴史は繰り返す」と言いますが、ほんの数時間でも同じような現象の繰り返しを見ていると飽きてきます。 歴史はもっと複雑かも知れませんが、見方によっては人が変わっても同じことの繰り返しだと皮肉も語られるかもしれません。 時間の流れの変化はsin,cosの三角関数の出番ですが、ここでは代数学にはふれずにフーリエ変換を直感的に説明したいと思います。 このサイトの本業である無線工学で扱う周波数はまさに時間の流れの中での繰り返し現象です。 時間の流れとともに延々と状態をみていると、同じような状況が何度も出てくかもしれません。ある符号をのせた電波は符号自体が有限なので、 符号の出現順を考慮しても結局は有限のパターンの繰り返しになってきます。符号をのせていない電波もあるかも知れませんが、 無線工学を研究する人は無限のパターンの中からもある程度のパターンを傾向として抽出しようと考えます。 意味のあるパターンや符号とノイズを切り分けることは解析手法の基本とも言えるでしょう。 時間の流れでみた変化は時間軸に沿った変化ですが、同じ時の流れの中でも変化の速さや緩やかさがあり、また変化の大きいものもあれば小さいものもあります。 変化の速さや緩やかさは周波数で示します。変化の大きさや小ささは振幅で表します。 フーリエ変換では変化の速さが緩やかなものから速いものを順番に並べて各変化の度合いを出していきます。 いわゆる時間軸を周波数軸に変換する方法がフーリエ変換と呼ばれるものです。

無線通信の分野では電波は時間軸の変化として時系列に受信していきます。電波には有益な周波数もあれば、ノイズのように不要な周波数も含まれており、 それらは周波数帯別に分かれているのですが、有益や周波数や不要な周波数を選択抽出するためにフーリエ変換は有効です。 また振動力学の分野では起振力に対する固有振動と固有振動により境界面で発生する寄生振動を解析するためにフーリエ変換を用いることもあります。 特に起振力が未知の場合や起振力が複数ある場合にフーリエ変換による解析は効果を発揮します。

電波と振動はよく似ている点でフーリエ変換は同じように有効です。これも代数学の恩恵のひとつでしょう。 他にもフーリエ変換は経済循環や株価や為替の長期的な変動を調べるために応用されています。

実際に起きている現象は連続的なものですが、解析を行う場合はサンプリングした値を用いるため、離散的な現象の解析になります。 それがフーリエ変換と離散フーリエ変換の違いとなります。コンピュータでは離散的な数値しか扱えないのでフーリエ解析はおのずと離散フーリエ変換となります。

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