アンテナ・フィーダのインピーダンス計算

アンテナ装置の抵抗・コイル・コンデンサ

アンテナから電波が出ていく様子を説明するために、まずは平行平板コンデンサの2電極板の間に電界が発生している図から入ります。 コンデンサは交流だと電界の向き(プラスとマイナス)を交互に入れ替えながら電界がなくなることはありませんが、直流では電界がなくなってしまい、電気が流れなくなります。 電波をコンデンサにつなぐと交流の場合と同じように電界の向きを入れ替えながら延々と電界を形成していきます。ここで対に向い合っている平行平板を広げて垂直にしてあげると電界の発生は弧を描き、電界の弧に鎖をつなぐように磁界が発生します。 磁界のエネルギーは徐々に電界のエネルギーに姿を変えていくので、磁界の鎖は電界の鎖につながり、再度電界の鎖は磁界を作っていくため、エネルギーが保存される限り電界・磁界・電界・磁界・・・と空間を伝わっていきます。(マクスウェルの法則から導きだされる電磁波ですね!)

ここまではアンテナのコンデンサ(記号:C)についてのイメージを説明しました。次にコイル(記号:L)のイメージについて説明します。 コイルと言えば銅線を巻いたものを思い浮かべますが、巻かなくとも銅線にはコイルの性質が備わっています。 変圧器がリアクタンス成分をもつように、亘長の長い電線もリアクタンス成分をもつのと同じイメージです。 厳密さを保つために少しテクニカルな用語を使うと集中定数回路として電気回路を取り扱う際には、 電線や導線は抵抗成分とリアクタンス成分をもつものとして扱います。ちょうどアンテナ装置ではフィーダ(給電線)がリアクタンス成分の 代表的なものとなります。またアンテナ自身も導線のように捉えるとわずかにリアクタンス成分をもちます。 アンテナやフィーダを集中定数回路ではなく分布定数回路としてみる場合は、 電線や導線は抵抗成分とリアクタンス成分に加えてキャパシタンス成分をもつ考え方になるため、 集中定数回路として扱うか、分布定数回路として扱うかは重要なポイントとなります。 アンテナで受信した電波はエネルギーとして消費される際に音声やデータに変換されます。 エネルギーを消費する受信機は抵抗(記号:R)と考えられます。当然、アンテナやフィーダにも抵抗成分が含まれるのですが、 受信機の抵抗Rではエネルギーを有効に消費するのに対して、アンテナやフィーダの抵抗成分はエネルギーの損失となってしまいます。

アンテナ・フィーダ・受信機を大まかに見るとRLC回路と等価な回路として解析を行うことができます。 まずは周波数を抜きにしてRLC等価回路を考えると、早速、複素計算を用いたインピーダンスマッチングの問題を解くことが可能となります。次項でインピーダンスマッチングの考え方の詳細を説明していきます。

インピーダンスマッチング

インピーダンスマッチングはコイルによる誘導性成分とコンデンサによる容量性成分を打ち消し合って抵抗成分のみにすることです。 アンテナのインピーダンスマッチングには延長コイル、短縮コンデンサを使います。アンテナは平行平板コンデンサを開いていくイメージがもとになっているため、 本質はコンデンサで考えることにします。それに対してインピーダンスマッチングを考える場合は材質による抵抗成分、長さによるコイル成分を計算していくことになります。

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